妖精

雑記

 

家人がフィーバーしている。

 

ちょうど冬季オリンピックをやっているけれど、その話ではない。

 

MAX 39.4℃。

 

まず娘が妖精になった。

なんともかわいらしい。

お遊戯か何かですか。

背中に玉虫色の羽でもつけているのですか。

 

次に妻が妖精になった。

ものすごい魔法を使えそうだ。

すでに800歳くらいなのかもしれない。

 

 

ご、ごほん。

漢字が間違っていた。

 

「陽性」だった。

 

例の感染症だ。

 

 

わが家もオミクロン氏の魔の手から逃れることはできなかった。

 

 

現時点で難を逃れているのは僕と息子。

あっちとこっちに狭いマンションを二分して、なんとかしのいでいる。

 

家事はワンオペ。

ほぼすべてのことを僕がこなす。

 

昨年の夏、妻が入院した時も同じような感じだった。

発熱があったけれど何度かやった検査はいずれも陰性。

感染の心配はなかったが、

仕事をしながらの綱渡りはなかなかタイトだった。

 

今回は仕事が強制的に休みになっているので、そういう意味では楽だ。

家のことだけをやっていればいい。

 

ただ今回の敵は家の中にいる。

姿は見えないけれど、たぶんそこらじゅうを舞っている。

不安がジワジワと心を蝕んでくる。

 

保健所からの連絡が来ていないので、すでに自分が感染しているのか判別する検査を受けるわけにもいかない。妻が病院で聞いた話によると、今はそもそも検査を受けられるかどうかも微妙らしい。

 

となると、もう病は気からではないが、自分は大丈夫だと言い聞かせてやっていくしかない。

 

 

下の娘が生まれたとき、僕は育児休暇をとった。そして家族の分の家事をすべて一人でやってみて、妻の負担がどれほどのものかということを知った。

 

一人暮らしをしていたので、一通りのことはできる。だから、ちょっとやることが増えるだけだろうと思っていた。しかし家族の分すべてとなると話がまったく違った。

 

ずっと食事のことを考えている気がする。

料理するよりも献立を考えるのが大変。

なんだか気が付くとキッチンにいる。

 

合間合間に

掃除、片づけ、買い物、息子。

 

自分のことをやる時間が全然とれない。

夜は疲れて眠ってしまう。

 

なんなんだこの忙しさは?!

 

妻は息子が生まれてからずっとこんな感じだったのだ。

しかも家事以外にもあれこれ新しいことをやっていた。

 

まるで魔法使いじゃないか。

 

 

あの時は家の中に敵はいなかった。

かわいらしい赤ん坊がいるだけだった。

まるで妖精のような。

 

 

今のところ息子は無症状。

彼は病に侵されてはいないが

楽しみにしていた修学旅行に行けなくなった。

一生に一度の友達との思い出を作れなくなった。

決して無事ではない。

 

 

今は僕がこの家の生命線だ。

とにかく倒れるわけにはいかない。

不安は募るが不安は見せない。

 

 

こんなときだけど

こんなときだからこそ

僕は幸せ者だと思う。

 

隣駅に住んでいる母に買い物は頼めるし

家族ぐるみで付き合いのある友人たちは

いつでもUber になるからねと言ってくれている。

看護師のママも何人かいるし

数駅先にいる竹馬の友は医師だ。

愚痴はSNSの友人が聞いてくれる。

 

いざとなれば

本当にいろいろなところに

ヘルプを要請できる。

 

 

妖精は人と神の中間の存在。

きまぐれでいたずら好きだけど

困ったときに助けてくれる。

 

 

僕のまわりにはたくさんの妖精がいる。

 

 

けっして一人ではない。

 

 

絶対に乗り切ってやる。

 

 

コメント

  1. とも より:

    「妖精」でクスッと笑ったものの、全部読んで色んな感情が湧いてきました。その思いを全部伝えたらろぎおさんの時間を奪ってしまうくらい長くなりそうだったので、やめておきます。
    たくさん言葉を並べるより願いはたった一つ。お願い、どうかどうか乗り切って。祈ってます。

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